【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
「聞きません」

「なっ、何故だ」

「別に興味がありませんので……もう宜しいでしょうか?」

「……ッ」


バレット様は焦っているようです。
一体何を気にしているのでしょうか。

わたくしがあっさりと承諾する事で喜んでも良い筈ですのに。


「……僕は、君に申し訳ない事をした」

「………」

「真実の愛を……見つけてしまったんだ。すまない、ヴァレンヌ」


聞いてもいないのにバレット様は恐らく婚約破棄をされた理由を勝手に語り始めました。

わたくしは思いました。

(勝手にしろ……)

もうこの人は赤の他人……最後まで話を聞く必要はないだろう、と。
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