【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
自分に酔いしれているバレット様を置いて立ち去ろうとするわたくしを再び引き止める声……。


「まっ…ヴァレンヌ!!待ってくれ」

「嫌ですわ」


わたくしを引き留めようと伸ばされたバレット様の手を容赦なく叩きます。


ーーーパシッ


「……痛っ」

「わたくしに気安く触らないで下さいませ」

「何を言っているんだ……!?」

「…………はい?」


それはわたくしの台詞ではないでしょうか?
余りにも予想外の言葉に声が出ませんでした。


「それは、こちらの台詞ですが……」

「何故だと聞いているんだ…!」

「婚約破棄する以上、もう関係ありませんから」

「……っ、ヴァレンヌ!そんな寂しい事を言わないでくれ!僕達は昔から何でも話せる仲だろう?」

「……何を仰りたいのか、意味が分かりかねます」

「それは、君がもっと僕に…ッ」
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