【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
「そんな事を気にすることはない。むしろ婚約破棄を告げられて良かったな。此方からはマスング公爵家にはとても言い出せなかったからな……色々とややこしくならずに済んだ。本当に良いタイミングだった」

「お父様とお母様にご迷惑は掛からないでしょうか?」

「あぁ、大丈夫だ。今回、我々に非は全くないのだから。むしろ向こうの方が顔を合わせづらかろう」

「でも………はしたないと思われないでしょうか?」

「大丈夫よ!私達に任せない。貴女の幸せを一番に願っているわ」

「ありがとうございます……お父様、お母様」

「あぁ」

「わたくし、今度こそ幸せになりますわ」


数日後、マスング公爵様と夫人はロレ侯爵邸にわざわざ謝罪にいらっしゃいました。

訳を聞けば、バレット様はとある子爵令嬢に夢中になりすぎて、全く聞く耳を持たないのだそうです。
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