落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
 不気味な笑顔を続けるヴィーに言われて、男性はぷるぷると震え、慌てて椅子に座った。
 その様子を見ながら、ホミは口を押さえ笑いを堪えている。だけど、私は笑えなかった。ヴィーが致命的に商売に向いていないことに気付いてしまったからだ。無自覚にお客さんを威嚇してしまうのでは、誰も来なくなってしまうのでは? 
 うーん……あとで、無理に笑わなくていい、と伝えよう。
「あの、ヴィー? 初回は私も同席しますね。いいですか?」
「ん? ああ、もちろんいいぞ」
 極々自然に話に加わると、ヴィーの隣に腰掛ける。すると、お客の男性はほっとした表情をして話し始めた。
「えっと、では改めて……アミュレットをひとつ、作ってもらいたいのです」
「はい。どんな願いを込めますか?」
「……あ、あの……ちょっと言いにくいのですが……」
 男性が顔を赤くして言い淀むと、ヴィーが前のめりになった。
「なんだ? 早く言え」
 だからっ! 言いにくいって言ってんでしょうが! 隣でくわっと目を見開いた私など気にも留めず、ヴィーは男性に迫る。すると、王様の圧に負けた彼は、最早これまで!というように大声で叫んだ。
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