落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
「王……私たちはさきほど、ホミとリンレンから全てを聞きました。パトリシアは、迷いの森でバーディア兵に捕まったホミを、命がけで助けてくれたそうです。ホミを助けたために、パトリシアは裏切り者として縄で縛られて森に放逐された……そんな彼女をホミたちが助けたのだと」
「命がけで……助けた? 人間が? 獣人を、か?」
「ええ。彼女は……パトリシアは、あなたが忌み嫌う人間とは大きく異なるようです」
「だ、だが、俺は王として、人間をここに入れるわけにはいかぬのだ! 幻獣を、獣人を迫害してきた奴らを許しては散っていった仲間に申し訳が立たない」
俺たちの仲間を多く屠ってきた奴らを許せるか? と、竜の血が叫ぶ。
しかし。
胸の内で、パトリシアの優しい笑みが何度も何度も再現されて、心をかき乱す。最初に出会った時、なんと美しい女性だと目を奪われた。話すうちに性格を知り、日々を共に過ごすうちに優しい心根を知った。知れば知るほど惹かれていき、会えないとすぐに会いたくなってしまう。
この感情の正体はなんなのか。長く生きてきて初めての感情が、俺は少し怖かったのだ。
「王様はパトリシアが好きなのですよね」
「命がけで……助けた? 人間が? 獣人を、か?」
「ええ。彼女は……パトリシアは、あなたが忌み嫌う人間とは大きく異なるようです」
「だ、だが、俺は王として、人間をここに入れるわけにはいかぬのだ! 幻獣を、獣人を迫害してきた奴らを許しては散っていった仲間に申し訳が立たない」
俺たちの仲間を多く屠ってきた奴らを許せるか? と、竜の血が叫ぶ。
しかし。
胸の内で、パトリシアの優しい笑みが何度も何度も再現されて、心をかき乱す。最初に出会った時、なんと美しい女性だと目を奪われた。話すうちに性格を知り、日々を共に過ごすうちに優しい心根を知った。知れば知るほど惹かれていき、会えないとすぐに会いたくなってしまう。
この感情の正体はなんなのか。長く生きてきて初めての感情が、俺は少し怖かったのだ。
「王様はパトリシアが好きなのですよね」