落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ～絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き～

　もしかして、最後の夫婦の語らいを誰にも邪魔させないようにと、森羅万象が気を利かせたの？
　まさかとは思ったけれど、そうとしか考えられない。
「ああ、うん。すまない。怒らないでくれ、本当に反省しているんだ……わかった、そうする……もちろんだ！　心配するな。オレはもう大丈夫だから！」
　光の中のミーナに手を伸ばし、アレンは微笑んで頷く。その表情は輝き、希望に満ちていた。ミーナは安堵した顔をして私を振り返ると、柔和な笑みを浮かべてゆっくり頭を下げる。そしてもう一度アレンを見ると、満足したように消えた。
「ありがとう。パトリシア・ロックウェル。彼女に会えた。酷く怒られてしまったよ、まあ、当然だが」
「ミーナさんは、どうして怒っていたのですか？」
「国王と神官長に加担して散々悪事を働いたことや……君を酷い目に遭わせたこと。ミーナは全て見ていたんだ。そして、心配していた。恥ずかしいよ。これからは彼女が安心出来るように、正しい人になろうと思う」
「そうでしたか。では、あの……この戦争を終わらせるために、協力していただけるでしょうか？」