落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
 玉座にいたのは、国王ひとり。彼はしばらく見ぬ間に酷く窶れ、心なしか覇気がないように感じられる。私たちを見ているようで見ていない、ただ、ぼんやりとして夢の中にいるようだった。
 私は周囲にホミの姿を探した。しかし、どこにもいない。グラウニクの姿も見えない。
 焦っていると、玉座の後ろのカーテンから気味の悪い笑い声が聞こえ、グラウニクが姿を現した。
「おやおや、みなさま、いらっしゃいませ。待っていましたよ」
「グラウニク……お前、ホミを攫ったな! さっさと返せ!」
「ああ、どうも。久しぶりですね、ドーランの王よ。あのウェアラビットを返してほしいと? では、伝説の宝を探してここに持ってきて下さい。そうすればお返ししますよ」
「お前はなにがしたいのだ! 伝説の宝を使ってなにをする?」
 不遜なグラウニクの態度に、ヴィーは苛ついて尋ねた。そう、私もそれが気になっていた。人を騙し、傷付けてまで、遂げたい想いがあるの? しかし、直後、答えを聞いた全員が唖然としたのである。
「なにを? だなんて決まっているじゃないですか? なんでも願いが叶うなら、この世の全てを手に入れて、全ての生物の頂点に立つ。ウェアウルフが世界の王になるのです」
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