落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
しかし、ヴィーは考えを変えなかった。
「いいや、奴らは全てが絶対悪だ。俺は人間を許さない。ティアリエスが止めるから我慢しているが、本心はひとり残らず滅ぼしたいと思っている」
「王様……」
穏やかで優しい月明りの下なのに、ここには不穏な雰囲気が漂っている。もちろん原因はヴィーの放つ殺気なのだけど、このままではせっかくの月夜が台無しである。よし! 空気を変えるためには、今目覚めるべきね。
「ふぁああ……あ! ヴィーごめんなさい! 私、完全に寝てしまって」
「おっ、と。目覚めてしまったか? 起こさないようにゆっくり動いていたのだが少々うるさかったか」
「いいえ、全然。ご配慮ありがとうございます。ホミもリンレンも、心配かけてごめんね」
視線を落とすと、ふたりは一様にほっとした様子を見せた。私が目覚めて安心したのもあるだろうけど、殺気立っていたヴィーが穏やかになったのが大きな理由だと思う。
雰囲気はまた和やかになり、ホミはスキップをしながら小道を駆ける。「そんなに走ると危ないよ」というリンレンの心配もなんのその。走るのが早いウェアラビットは、あっという間に前方に消えた。
「いいや、奴らは全てが絶対悪だ。俺は人間を許さない。ティアリエスが止めるから我慢しているが、本心はひとり残らず滅ぼしたいと思っている」
「王様……」
穏やかで優しい月明りの下なのに、ここには不穏な雰囲気が漂っている。もちろん原因はヴィーの放つ殺気なのだけど、このままではせっかくの月夜が台無しである。よし! 空気を変えるためには、今目覚めるべきね。
「ふぁああ……あ! ヴィーごめんなさい! 私、完全に寝てしまって」
「おっ、と。目覚めてしまったか? 起こさないようにゆっくり動いていたのだが少々うるさかったか」
「いいえ、全然。ご配慮ありがとうございます。ホミもリンレンも、心配かけてごめんね」
視線を落とすと、ふたりは一様にほっとした様子を見せた。私が目覚めて安心したのもあるだろうけど、殺気立っていたヴィーが穏やかになったのが大きな理由だと思う。
雰囲気はまた和やかになり、ホミはスキップをしながら小道を駆ける。「そんなに走ると危ないよ」というリンレンの心配もなんのその。走るのが早いウェアラビットは、あっという間に前方に消えた。