君にたくさんのありがとうを
神代くんのいなくなった学校は、とても寂しく感じた。
神代くんの存在が、私の中でどれほど大きくなっていたのか、身に染みて感じる。
私は、学校の帰りに毎日病院へと通った。
幸いなことに病院は学校の近くだった。
廊下ですれ違う看護師さんにペコりと頭を下げながら、奥にある神代くんのいる病室へと向かう。
引き戸をガラリを開けて中に入ると、今眠っている神代くんがいた。
「あら、詩織ちゃん。今日も来てくれたのね」
「はい……」
神代くんのお母さんには、事故があってこの病院に運び込まれたあと初めて出会った。
私よりも息子である神代くんが心配で仕方ないはずなのに、顔面蒼白になっていた私の心配をしてくれたことを今も覚えている。
「こんなことになってしまったのも私のせいなので……」
「そんなことないわ。悪いのは信号無視をしたトラックの運転手。颯馬は詩織ちゃんを守っただけ。いつからそんないい子に育ったのかしらねぇ」
神代くんのお母さんはどこまでも優しかった。
「そろそろ私は帰らなくちゃいけないから、颯馬のことお願いしてもいいかしら?」
「はい、わかりました」
そうして、神代くんのお母さんは荷物をまとめて病室を出ていった。