君にたくさんのありがとうを
「ずっと守りたいと思ってたのに、その日だけバラバラに帰っちゃって後悔してたんだ。でも、全速力で走って追いかけて……間に合って本当に良かった」
大事なものを包むように優しく包まれる。
そう、私たちはあの日だけバラバラに帰った。
もし私が引き止めて一緒に帰っていたら違ったのかな……
神代くんが事故に遭うこともなかったのかな。
「私も予知夢を見る能力が欲しかった」
「え?」
「私も予知夢が見られたら、神代くんが交通事故に遭っちゃう夢を見られたら、神代くんを守れたかもしれないのに……」
もし事前にわかっていたら、神代くんがそうしてくれたように、私も神代くんを交通事故から守ることができたのかもしれない。
何度もそう思った。
私にもその能力があればって……
「いいじゃん。俺、こうして生きてたんだから」
体を引き離して、私に見えるようにニッと笑う。
「笑い事じゃないよ」
私は簡単に考えている神代くんに怒った。
「本当にどれくらい心配したか!」
「ごめんって」
本当、神代くんは全然わかってないんだから。