君にたくさんのありがとうを
「本当はね、気づいてたの」
英里ちゃんがぽつりぽつりと話し始める。
「詩織がうちらを裏切るような子じゃないってわかってた。でもその時は噂に躍らされて、許せなくなっちゃって……」
「本当にごめん」と英里ちゃんは深々と頭を下げた。
「え、英里ちゃん!そんな……!」
「私も、勝手に噂信じて酷いこと言って、詩織のこと避けてひとりにして……本当にごめんね」
英里ちゃんに続いて未奈ちゃんも私に頭を下げる。
「やめてよ、未奈ちゃんも。私、そんな……謝らなきゃいけないのは私の方で……」
「そんなことない!だって、詩織は何も悪くないんだから」
そう言った未奈ちゃんの目には、涙が浮かんでいた。
「一条くんたちが罰ゲームで詩織に告白してたのも、うちら知ってるんだ……」
英里ちゃんの口から出た言葉は衝撃の事実だった。
「そう……だったの?」
「噂が広まって落ち着いた頃にうちらも聞いちゃったんだ。一条くんたちが詩織をハメたこと」
そう言う英里ちゃんに、未奈ちゃんもこくんと頷いた。
そっか、2人も知っていたんだ。