君にたくさんのありがとうを
もうすぐお別れの駅に着く。
そこからは家が反対方向だから、お別れしなければいけない。
私はもうひとつ、やりたいことがある。
変わろうとしないと変われない。
私から行動しないと。
これは今回のことで学んだこと。
私はもっと神代くんと近づきたい。
「ねぇ!神代くんっ!」
私は少しだけ前を歩く神代くんを呼んだ。
意気込んでしまっていたからか、思ったよりも大きな声が出た。
「なあに、詩織」
私と手を繋いだままの神代くんは、足を止めて私の方へと振り向いた。
「あの、その……」
いざとなると緊張して、上手く話せない。
これは私の悪い癖だ。
頑張れ、私。
もう今の私は、前の私とは違う。
「颯馬、……くんって呼んでもいい?」
心臓がドキドキと大きな音を立てる。
口から心臓が出てきてしまいそうなくらい。
すると、神代くんはフッと笑った。