裏側の恋人たち
ちょっとした家事を済ませてベッドに潜り込む。
さすがに今回はかなり疲れた。

目を閉じるとすぐに眠気がやってきて、目が覚めたら『リンフレスカンテ』になにか食べに行こうと思いながらわたしの意識は眠りの波に飲み込まれていった。

目覚めたらもう深夜だった。
やばい、寝過ぎた。『リンフレスカンテ』はとうに閉店している。

ううっ、目覚めが悪いよお。

『リンフレスカンテ』の新作デザートをこれでもかと言うほど平らげ、食べ過ぎて腹痛を起こし自分の病院に担ぎ込まれるという夢を見た。担当医があの布川先生というおまけ付き。

「気分悪いわ、何か飲もう」とひとり言が止まらない。
14時間も眠るなんていつ以来だろう。

食べ過ぎの夢を見たせいか空腹を感じない。
すっかり体内時計を狂わせてしまった。

ゆっくりと深夜のバスタイムを楽しみ、撮りだめたドラマを観ながらサラダチキンとスティック野菜とチーズをつまみにワインを飲んでいると、また眠気がやってくる。

3時間ほど仮眠をとって明日の午前中から活動すれば狂った時計も元に戻るだろう。そう思ってまたベッドに潜り込む。

ひとりって気楽だけど、ちょっと寂しい。
こんな静かな時間になるとそう思う。

このままずーっとひとりで仕事だけして暮らしていくのかな。

30才、40才はいい。
50才超えて何か持病だったり更年期障害を抱えたり、それでもその先の人生をひとりで生きていける強い気持ちを私は持てるのだろうか。
結婚なり同棲なりして誰かと暮らしたらこんな気持ちにはならないんだろうか。

こんな静かな夜には漠然とした不安に襲われる。

私は弱い。
きっと誰かに依存しないと生きていけない種類の人間なんだと思う。

自分が必要で自分も相手に必要とされる特別な人を作ったら楽になれるのかな。

そんな相手は瑞紀がよかったけれど、でも彼ではダメだ。
瑞紀には結婚願望がない。
女性関係はよくわからないけど、私が知る限りいま女性の影はないと思う。

あの瑞紀と私では私が望むような関係を作れない。

私はやっぱり恋愛結婚で結ばれるような相手が欲しい。
そして出来ることなら我が子を抱いてみたいと思うのだ。

好きな人と結婚できるのが一番だけど、将来の展望とか人生観の違う人との結婚はムリだ。破綻するのが見えている。

あーあ。
そろそろ瑞紀から卒業する頃合いなのかもね。
そばにいるだけじゃ満足できなくなっちゃった。


オジョウサマの結婚パーティーの影響を受けまくった自分にため息が出た。



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