裏側の恋人たち
瑞紀の手で手際よくリビングのテーブルに料理が並べられあっという間に晩餐が再開となる。
アルコールのお代わりを頼んだときにずいぶん待たされたのはこの料理を準備するためだったらしい。
料理の他にワインも出されたけれど、私は落ち着かない。
「どうした、食べれば?腹減ってたんだろ」
「あーうん。・・・イタダキマス」
確かに料理は私の好きなものばかり。
でも、ここはやっぱり落ち着かない。
瑞紀の自宅のリビング。
ここは私がいていい場所じゃない気がする。
さっさと食べて帰ろうかな。
無言で次々と口に運んでいると、瑞紀がしかめっ面でワイングラスをテーブルに置いた。
そういえば今日瑞紀はワインばっかり飲んでいてほとんど食べてない。
「疲れてるからってお酒ばっかりじゃダメだよ。瑞紀も食べないと」
瑞紀の前に置かれた真っさらの取り皿に料理を取り分けて「はい、食べて」と押しつけた。
瑞紀は返事もしないでまたワインを口に運ぶ。
「もうっ、そんな機嫌悪いなら私をここに連れて来なきゃいいじゃない」
私だって好きでここに来たわけじゃない。
「ーーーなんで帰った」
「は?帰ってないでしょ。無理矢理連れてきたくせに。これ食べたらさっさと帰るけど。それとも、もう帰っていいのかしら」
「そうじゃない。土曜日の話だよ。何で帰った」
土曜日ってそんな前の話なの?そんなこと今更どうした。
オジョウサマの結婚式の日なんてあれから忙しすぎて感覚的に遠い昔のことみたいなんだけど。
「瑞紀を送って私の役目が終わったから帰ったの。・・・なんで怒ってんの?もしかしてあの後気持ち悪くなっちゃって吐いたとか?ぐっすり寝てたから大丈夫だと思ったんだけど、ごめん?」
「吐いてないし」
「そう?ならいいじゃない。あれからぐっすり眠れたんでしょ。それとも傷が痛かったとか?」
「傷は大丈夫。お前の手当がよかったし。ーーそうじゃないだろ。朝起きてお前いないし、あんな格好だったし」
あら、もしかして私に服を脱がされたことにおかんむりだったとか。
でも今更じゃないのかな。
わたし、瑞紀が入院したときの担当だったからもっとすごいとこも見てるし、すごいこともしてるし。
「楽な格好で寝かせてあげようと思ったのに気に入らなかったのならごめんね。でも、余分なところは見てないから」
「ーーーお前は本当に・・・」はあっと大きなため息をつかれた。
「俺はお前がどうして帰ったんだと聞いているんだが」
「無事に送り届けたからに決まってるでしょ。あのコーディネーターの女の毒牙からも守ってあげたのにどうして文句言われるのかな」
ちょっと意味がわからない。
まるであのまま私もここに泊まるべきだったと言われているようだ。
泊まる方がおかしいでしょ。
お泊まりセットも着替えも持ってないし、翌日仕事だったし。
それにどこで寝ろと。
「こっちは愛の告白をしたっていうのに、帰るか、普通。おまけにあれからなんの連絡もなく」
「アイのコクハク?」
私の耳がおかしいのか瑞紀の頭がおかしいのか。
アルコールのお代わりを頼んだときにずいぶん待たされたのはこの料理を準備するためだったらしい。
料理の他にワインも出されたけれど、私は落ち着かない。
「どうした、食べれば?腹減ってたんだろ」
「あーうん。・・・イタダキマス」
確かに料理は私の好きなものばかり。
でも、ここはやっぱり落ち着かない。
瑞紀の自宅のリビング。
ここは私がいていい場所じゃない気がする。
さっさと食べて帰ろうかな。
無言で次々と口に運んでいると、瑞紀がしかめっ面でワイングラスをテーブルに置いた。
そういえば今日瑞紀はワインばっかり飲んでいてほとんど食べてない。
「疲れてるからってお酒ばっかりじゃダメだよ。瑞紀も食べないと」
瑞紀の前に置かれた真っさらの取り皿に料理を取り分けて「はい、食べて」と押しつけた。
瑞紀は返事もしないでまたワインを口に運ぶ。
「もうっ、そんな機嫌悪いなら私をここに連れて来なきゃいいじゃない」
私だって好きでここに来たわけじゃない。
「ーーーなんで帰った」
「は?帰ってないでしょ。無理矢理連れてきたくせに。これ食べたらさっさと帰るけど。それとも、もう帰っていいのかしら」
「そうじゃない。土曜日の話だよ。何で帰った」
土曜日ってそんな前の話なの?そんなこと今更どうした。
オジョウサマの結婚式の日なんてあれから忙しすぎて感覚的に遠い昔のことみたいなんだけど。
「瑞紀を送って私の役目が終わったから帰ったの。・・・なんで怒ってんの?もしかしてあの後気持ち悪くなっちゃって吐いたとか?ぐっすり寝てたから大丈夫だと思ったんだけど、ごめん?」
「吐いてないし」
「そう?ならいいじゃない。あれからぐっすり眠れたんでしょ。それとも傷が痛かったとか?」
「傷は大丈夫。お前の手当がよかったし。ーーそうじゃないだろ。朝起きてお前いないし、あんな格好だったし」
あら、もしかして私に服を脱がされたことにおかんむりだったとか。
でも今更じゃないのかな。
わたし、瑞紀が入院したときの担当だったからもっとすごいとこも見てるし、すごいこともしてるし。
「楽な格好で寝かせてあげようと思ったのに気に入らなかったのならごめんね。でも、余分なところは見てないから」
「ーーーお前は本当に・・・」はあっと大きなため息をつかれた。
「俺はお前がどうして帰ったんだと聞いているんだが」
「無事に送り届けたからに決まってるでしょ。あのコーディネーターの女の毒牙からも守ってあげたのにどうして文句言われるのかな」
ちょっと意味がわからない。
まるであのまま私もここに泊まるべきだったと言われているようだ。
泊まる方がおかしいでしょ。
お泊まりセットも着替えも持ってないし、翌日仕事だったし。
それにどこで寝ろと。
「こっちは愛の告白をしたっていうのに、帰るか、普通。おまけにあれからなんの連絡もなく」
「アイのコクハク?」
私の耳がおかしいのか瑞紀の頭がおかしいのか。