Cherry Blossoms〜潜入捜査官と天才医師〜

五階西病棟のナースステーションに入ると、病棟師長である松田妙子（まつだたえこ）がすぐに気付いて近付いてくる。メガネをかけたふくよかな体型の女性だ。

「あら、四月一日先生とヨハン先生じゃないですか！こちらの方は？」

「今日から救急の方で働くことになった本田凌です。よろしくお願いします」

桜士が頭を下げると、「こちらこそよろしくお願いします」と妙子は頭を下げた。その顔は嬉しそうにニコニコと笑っている。

「救急はいつも人手不足だから、四月一日先生やヨハン先生、そして本田先生が来てくれてすごく嬉しいです！」

「頑張ります！」

桜士だけでなく、一花とヨハンも答えた。ヨハンは桜士に対する態度とは百八十度違う爽やかな笑みを浮かべており、その態度に桜士はムッとしつつも、顔から笑みは崩れなかった。

その時、「ちょっと、何してんの！？」と悲鳴と共に大きな声が聞こえてくる。ナースステーションの一番前にある部屋からだ。一花が目の色を変えて様子を見に行き、桜士もその後に続く。