離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
「詳しいね、夕菜」

 私が思わず漏らすと夕菜は「小柴さんは有名人だもん。学生時代は読者モデルとかもしてて実家のことも知られているみたいよ」と教えてくれた。

 夕菜の言葉に尊も同意する。

「だな。俺も小柴美玲が嘘をついてるんだと思う」

 私はいまだに理解が追いつかない。

「じゃあ赤ちゃんは誰の子なの? 桔平さんと別の女性の?」
「いやいや」

 夕菜と尊から同時にツッコミが入る。

「普通に考えれば大門機長も関係ないでしょ」
「全部真っ赤な嘘と考えるほうが自然だよな」

 それを聞いて私は顔を青くする。

「もしそうだったらどうしよう……私、桔平さんにひどいことを言っちゃった」

(全部勘違いだったとしたら離婚したいだなんて――)

 どうして桔平さんに真相を確かめもせずにひとりで結論を出してしまったのだろう。

「あぁ、最低だ」

 落ち込む私の背中を夕菜が優しくさすってくれる。

「美紅が信じてしまうのも無理はないよ。だって小柴さんがそんな嘘をつく理由、私もわからないもん」
「それは本人に聞くしかないだろうけど……まずは大門機長と話してこいよ」
「え、でもどんな顔して……」

 戸惑う私を尊が真剣な顔で説得する。

「こういうのは一刻も早いほうがいい。タイミングは逃すと二度と巡ってこない。――俺が言うと説得力があるだろ」

 尊はふっと苦笑いを浮かべた。
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