離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
(尊の言うとおりだ。向き合うのを恐れていたら未来はない)

 私は勢いよく席を立ってふたりに礼を言う。

「ありがとう! 私帰るね。桔平さんとちゃんと話してみる」
「うん、気をつけて!」

 ふたりに見送られて大急ぎで店を出た。

(桔平さん! まだ間に合うかな? 桔平さんはもう一度私を受け入れてくれる?) 

 必死の思いで玄関を開けたけれど家はもぬけの空だった。

「桔平さん!」

 私はリビングに走る。ダイニングテーブルの上に置き手紙を見つけて慌てて手に取った。

【スタンバイに欠員が出て急遽出勤することになった。さっきはきちんと君の話を聞けずに悪かった。俺はなにがあっても美紅を諦めるつもりはないから】

 そのメモを胸に抱き締めた私の瞳から大粒の涙がこぼれた。

(私も……桔平さんを諦めたくない!)

 翌日。今日最初の仕事は札幌行きのフライトだ。北海道や沖縄など観光客の多い便は現地についての質問を受けることも多くCAとしては勉強になる。

(今日のチーフはどんな人だろう)

 そんなことを考えながらブリーフィングのためにオフィスに向かう。

「え?」

 思わず声が出てしまった。集まっている人員の中央に桔平さんの姿があったからだ。

(あれ、札幌便の機長は桔平さんではなかったはずだけど……)

 近くにいた顔見知りの先輩が教えてくれる。
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