離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
「あ、はい。いつもはママと一緒だけどもう中学生になったから初めて……」

 ひとりで飛行機。それだけでも心細いと思うのにこんな事態に遭遇してしまうなんてどれだけ不安なことだろう。
 私はできるだけ明るい笑顔を作って彼女に言う。

「ちょっと怖いと思うけど安心してね。今日のパイロットさんたちはすごく腕がいいのよ。絶対に大丈夫だから!」

(コーパイさんは初めて見る顔だったけど……桔平さんは絶対にやり遂げる!)

 そう信じるしかない、信じたかった。

「――ありがとう。本当はすごく怖くてっ」

 涙声になった彼女の背を私はそっとさすった。

「一緒にがんばってくれてありがとう。もう少しだからね」
「うん。私も……がんばる」

 見落とされがちな事実だけれど飛行機の安全運航には乗客の協力も必要不可欠なのだ。誰かが安全を脅かす行為をすればあっという間に全員が危険にさらされる。

 私は勇気を振り絞って、乗客全員に向かって声をあげた。

「お客さま! どうか聞いてください。――私たちと、パイロットと一緒に……闘ってくれませんか? みなさまひとりひとりの協力が必要なんです。お願いします!」

(お願い、届いて!)

 私は必死で頭をさげる。

 すると近くに座っていた年配の女性が声をあげてくれた。

「CAさんの言うとおりよ。こういうときこそ落ち着きましょう」
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