離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
「う~ん」

 結局、私も桔平さんも頭を抱えてしまった。彼は静かな声で告げる。

「本人に聞こう。それが一番早そうだ」

 数日後。私たちは小柴さんを呼び出して問い詰めた。

「どういうことか説明してくれるな」

 桔平さんがすごんでも彼女は軽い調子で降参のポーズを取る。

「な~んだ。あっさり仲直りしちゃったの? もっとこじれてくれるのを期待してたのになぁ」

 悪びれるふうもなく彼女は口をとがらせた。桔平さんの声に怒りがにじむ。

「すぐにバレる浅はかな嘘をついた理由は? 俺が誘いを断った腹いせか?」

 小柴さんは小さく肩をすくめる。

「まぁそれもあるかな! 男に振られたのあなたが初めてだし」

 クスリと笑って彼女は続ける。

「それにバレる前にちょっとはあなたたちの仲を引っかき回せると踏んでたんだけどな。大門さんほどのイケメンパイロットならこれまでも遊び放題だったでしょ? どこかで女が妊娠していてもすぐには否定できないと思って」

 桔平さんは心底軽蔑すると言いたげな眼差しを彼女に向ける。

「自分と一緒にしないでくれ。美紅と出会ってからは俺の目には彼女しか映っていないから」

(わ、わぁ!)

 そんな場面じゃないと思いつつも私は頬を染めてしまった。

「え~、でもあの人も――あっ」

 小柴さんはとっさに手で口元を押さえた。けれど、彼女の失言を桔平さんは聞き逃さない。どうやら共犯者がいるらしい。
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