離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
 私は小柴さんに会った直後は彼女の話を信じて桔平さんをさけてしまっていたこと。その後、夕菜と尊の話から小柴さんの妊娠そのものが疑わしくなったことを桔平さんに伝える。

「少なくとも、美紅が写真を見たという子どもは俺の子ではない。そして園部くんが半年前に会ったのが小柴美玲本人なら彼女の子でもないんだろうな」

 なにがなんだか全然わからない。私は首をひねった。

「真っ赤な嘘? なんの意味があるんでしょう?」

 桔平さんは眉根を寄せる。

「単純に俺に対する嫌がらせ……この可能性が一番高いかな。まぁ心当たりもあるし」

 ミュンヘンで彼女からの誘いを結構きつい言葉で断ったことを彼は打ち明けてくれた。

「もしくは俺と美紅の仲を壊すのが目的。誰かにそそのかされた可能性もあるか」

 私たちの不和を望む人物がいるとすれば誰だろう。

「慶一郎おじさんの反対派閥の人の陰謀?」

 私はつぶやくが自分でもちょっと馬鹿げているなと思った。大企業の幹部クラスが真面目に考えるにしては低レベルすぎる。桔平さんも同意見のようだ。

「それに反対派閥なんていうとかっこよく聞こえるが……実態はどんな集団にも必ずいる文句を言いたいだけの人間の集まりだからなぁ。低レベルでもなんでも自分でアクションを起こせる人間は反対派閥に属したりはしないもんだよ」

 文句を言うだけの人は行動には移さない。その意見は一理ある気がした。
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