「お嬢さんを俺にください!」

クリスマスの日
俺のところに来たレーニャ

お酒の匂いとあの人の香水の匂いがした



首元が赤くなってた

キスマークだった



婚約者なんだから当たり前だけど
そのあと俺の所に来なくてもいいだろ

そう思ったけど
会いに来てくれて嬉しかった



新しいアパートは
あえてレーニャには教えなかった



まぁ、お化け屋敷みたいだし

お互い連絡先も知らないけど
今までだって会いたければ学校で待ち伏せとか
バイト先だって知ってるし

レーニャが来るのは自由だけど
俺からは言えなかった

会いたいとか
またおいでとか



お互い好きでも
普通にキスできない俺達

レーニャはしたいと思ってるかわかんねーけど…



新年早々
レーニャが俺の新しいバイト先に来て

偶然なわけないけど
運命でもなさそうな

レーニャが故意に会いに来ただけで

そんなに俺に会いたかったのかな?って
考えたら愛おしかった



すぐ帰す気で
このお化け屋敷に入れたけど
なかなか帰んなくて



誘拐することになった



1年前は知らずに誘拐みたいになってたけど
誘拐じゃなくて保護って言って

今回は保護でもなく
故意的な誘拐



身代金とかいらないから
この誘拐ごっこが本当の誘拐になって

ずっとレーニャと一緒にいれたらな…



「レーニャ、好きだよ」



スー…スー…スー…スー…



返事はいらない



俺とレーニャの間に答えはない気がする



答えを出すならきっと
俺達は一緒にはいられない



< 222 / 243 >

この作品をシェア

pagetop