偽りのはずが執着系女装ワンコに娶られました
秀の医療秘書として恋が働くようになった裏には、諸々の事情を熟知していた青山が、恋に少しでも秀の良さを知ってもらおうという、少々いきすぎた根回しのせいだったらしい。
その根回しのおかげで秀のことを好きだと自覚することになったのだから、さすがは切れ者執事。
「……そう、だったんだ」
正直、驚きでしかなかった。
今の心境を表現するなら、この言葉に尽きる。
女装男子の件は、できすぎのような気もしたが、自分のためにそこまでしてくれていたことに対しては、素直に嬉しい。
ーーいや、大いに嬉しい。メチャクチャ嬉しい。
「ああ。俺が意気地がないばっかりに、本当に悪かった」
それに、男性恐怖症のことを思えば、秀がそうするより他に術がなかったことも理解できる。
恋がそう思っているとも知らずに、猛省しきりの秀はシュンとした声音を震わせる。
「許してもらえなくても当然だと思うし、気持ち悪い男だって思われても仕方ないって思っている」
もういいから。そう声をかけようとしたとき、秀が息を大きく吸い込んだ。
そうして恋の身体の向きを変えて正面から向かい合い、真っ直ぐに見つめてくる。