【完結】離婚したいはずのお嬢様は、旦那様から愛の復縁を迫られる。


「……あのさ、アユリ」

「ん……?」
 
 俺はアユリの手をそっと握りしめると、アユリにこう呟いた。

「俺、カナトに聞きたいことがあるんだ」

「聞きたいこと? あ、なら私が聞いてっ……」

 アユリの言葉を「いや、俺が直接聞きたい」と遮った俺は、再びアユリに「頼む。カナトの職場、教えてくれないか」とお願いした。

「……ん、分かった」

 渋々俺のお願いを聞いてくれたアユリは、メモにカナトの職場の住所を書いて「はい」と渡してくれた。

「ありがとう」

「あの、一体カナトになんの話を……?」

 俺が何かを話そうとしていると知って、アユリはとても心配そうな表情を見せている。

「これは男同士の話だぞ? 男同士でしか、話せない話もあるんだよ」

 こう言っておけば、アユリは多分介入はしてこないだろう。

「男同士でしか話せないんじゃ、仕方ないね」

「済まない、アユリ」

「ううん、気にしないで」

 アユリは微笑みを小さく浮かべているが、実際はカナトと話せるのかなんて、分からない。
 カナトは俺を拒絶しているし、もしかしたら話してくれないかもしれない。
 それでも俺は、カナトと話をしたい。 いや、しなければならない。
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