ウィザードゲーム〜異能バトルロワイヤル〜

 突き刺すほど真剣な眼差しを向けられ、至は一旦口をつぐんだ。

「……その前に、まずみんなに謝らせて欲しい。本当にごめん。俺の異能はね────」

 自身の能力の全容を、包み隠さず打ち明ける。
 この期に及んで隠し通す必要なんてなかった。

「それが、睡眠魔法……」

「ひとり眠らせたくらいなら眠気は知れてるけど、そうは言っても永遠に起き続けていられるわけじゃないから、そこは許してね」

 反動以前に、人間として生命の危機に瀕してしまう。

 理由は異なるものの、慢性的に“睡眠”を敵とするアリスは何となく他人事とは感じられなかった。
 腕を組みつつ神妙に呟く。

「なるほどなぁ。“最恐”にそんな弱点が……」

 こく、と至は頷いた。

「昨晩は本当にごめんね。絶対寝ないようにしようと思ってたんだけど。……そういうことだから、冬真くんだけじゃなくて狐くんももう起きちゃってる」

「それはまずいんじゃ────」

「いや、ルールに違反さえしなけりゃ大丈夫だ」

 眉を下げて案じた奏汰に、蓮は毅然と返す。

「少なくとも小春が狙われたのは、ルール違反が理由。たぶん、俺たちも同じ。何のルールかは分かんねぇけど」

 その言葉に、一同は怪訝そうな表情を浮かべた。

「何でそんなこと知ってるの? ルール違反?」

「ああ、これを見てくれ」

 スマホを取り出すと、雪乃に転送してもらった動画を再生した。

 踏切での祈祷師との邂逅。小春の()()
 その一部始終がすべて記録されている。

 至は窺うように小春を振り返った。
 姿を隠していても、彼女の混乱したような息遣いを蓮も聞いた。

「これ、わたし……? 死ん、だ……?」

「大丈夫、おまえは生きてる」

 小春自身にも理解できない映像だったものの、蓮は動じることなく断言した。

 それから、雪乃の存在とその能力や彼女から聞いた経緯(いきさつ)を告げると、全員が驚愕を禁じ得ない様子だ。
 至も含め、それは初耳の事実だった。

「なあ、小春」

 蓮は影を見つめて静かに呼びかける。
 念を押すように、もう一度呼ぶ。

「小春、だよな」

 それ以外にありえない。それしか考えられない。

 “影の魔術師”の正体は小春で確定している────はずなのに、妙な違和感が胸の内に蔓延(はびこ)る。

 何かが腑に落ちない。
 心をつつくような胸騒ぎが、じわじわと根を張っている。
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