実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

 私は、自分の記憶について話す覚悟を決める。
 自分を偽ったまま、家族になるなんて、私には出来ない。

「――――信じられないと思いますが、私には、ここではない世界の記憶があるんです。フィアーナではない違う人間として生きていた記憶が」

 その言葉を継げた途端、満開の薔薇が咲き誇ったみたいにレザール様は笑った。
 笑顔の意味が分からなくて、戸惑っているうちにレザール様が告げたのは信じられないひと言だった。

「やっと話してくれましたね。……知っていましたよ?」
「…………は?」
「あなたは、覚えていなくても、あの日のことは忘れられない思い出ですから」

 それは、私とレザール様が初めて出会った日。
 乙女ゲームのシナリオが、方向を変えた日のことだった。
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