実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
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王太子殿下の婚約者に決まる前の私は、とても快活で明るい子どもだった。
王宮に招かれた私は、それが王太子殿下の婚約者を決めるための顔合わせであることも知らずに、そっと大人たちの輪を抜け出して、庭を散策していた。
「レインワーズ公爵家の庭は素晴らしいけれど、やっぱりお城のお庭はすごいのね……」
一輪の薔薇を前にしてしゃがみ込む。
一色ではなく、ピンクから黄色に色を変える薔薇は、とても珍しいものに違いない。
少し歩いたところにあったガゼボ。
その中心に置かれたベンチに腰掛けたとき、急激な眠気が襲ってくる。
それもそのはず。王太子殿下の婚約者を選ぶための集まりだったから、私は早朝から起こされて磨き抜かれていた。
「レザールきゅん……」
口をついて出たのは、なぜか懐かしい呼び名だ。
それが誰かも分からないのに、その響きに安堵して眠りに落ちていく。
夢の中の私は、不思議な魔道具を手にしていた。
『レザールきゅん!!』
その魔道具の中には、とても美しくて可愛らしい王子様がいて、私はその人に夢中になっていた。
片思いに似た感情。画面の王子様は、私を見てくれるわけではない。それでも私は幸せだった。
目の前の王子様が見つめているのは、ストロベリーブロンドの髪をした可愛らしい女性だ。
一方、俯いて北の地に送られるのは……。