実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
二人が出会ったあの日から、乙女ゲームのシナリオは、ほんの少しの変化から大きく形を変えている。
だからきっと、北の地にも、幸せが待っているに違いない。
「ところで、結婚式の準備、いつの間にすすめていたのですか?」
結婚の申し込みを正式に受けてから、まだ一週間。
再会してからだって、ほとんど月日が経っていないと思うのに……。
目の前の王子様、改めウィールリーフ公爵は、にっこりと微笑む。
そこには、かつての可愛らしかった乙女ゲームの末の王子の面影はない。
目の前にいるのは、少し意地悪な年下公爵様だ。
「三年間、準備していましたからね」
けれど、私は知っている。
レザール様が、私のために背伸びしてくれていることも、甘い物がやっぱり今でも大好物だってことも。
ブラックコーヒーよりも、やっぱりミルクティーが好きなことも。
「私、コーヒーよりも紅茶が好きなんです。とくに甘いミルクティーが」
「……あなたがそういうなら、二人きりの時には、いつでも甘いお菓子とミルクティーを用意しましょう」
「ふふ。可愛いですね」
「――――可愛いのは」
ベールが取り払われる。
目の前には、まぶしいほど輝いている水色の色彩。
「……あなたのほうだ」
(世界一可愛いのは、レザールきゅん!!)
そう告げようとした推しを愛する私の言葉は、誓いの口づけにかき消されてしまったのだった。


