実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

 それから、結婚式は速やかに行われた。
 この短期間にどうやって用意したのだろうというくらい豪華に、華やかに行われた。
 リーフ前辺境伯とは、結婚式をしなかった。

(あの日、大切に取っておきなさい、と言った旦那様は、こうなることを予測していたのかしら……?)

 ベール越しに見る魔術師団の白い正装を着たレザール様は、あまりに麗しくて、隣の花嫁がかすんでしまいそうだ。
 白いドレスを彩る、淡い水色の薔薇と宝石。
 そのきらめきに負けないくらい甘く、レザール様が微笑んでいる。

「――――でも結局、シナリオは完全には覆せないってことなのかしら」

 これから私たちは、新たにウィールリーフ領として与えられた北の地に向かう予定だ。
 それは、明らかに悪役令嬢が、末の王子ハッピーエンドで送られてしまう場所に違いない。

 五十歳年上の辺境伯との結婚。
 そして、北の地への追放。

 だってどちらも、乙女ゲームのシナリオに描かれていた未来にとてもよく似ている。

「……レザールきゅん」
「あなたが話してくれた、その場所に、害を与える魔獣はいませんよ?」
「そうですわね……」

 不安になってしまった私に、レザール様は余裕の表情で答えてくれる。
 可愛かった王子様は、もうここにはいないのだろうか。
 いや、やっぱり私の背を越えてしまっても、その笑顔はとても可愛らしい。
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