二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
 涼が初めてセックスしたのは、中学2年。
 模試の帰り、声をかけてきたよく知らない女だった。
 安物の香水が、甘ったるくて気持ち悪いと、涼は思った。
 その日の涼は、気分が最悪だった。
 試験があまりにもつまらなすぎたから。
 
(くだらないことに、僕の時間を使われるのはゴメンだ)

 今度からは模擬試験というものは100万積まれても受けないと思った涼だったが、涼がその模試に参加することで一気に塾の成果が底上げされることもあるため、涼の親に仕事として依頼が来ていた。
 そんなお金の流れも、涼はとっくに見抜いていたので

(いつか痛い目に遭わせてやろう)

 と、本気で考えながら、暇つぶしに六法全書を読んでいた時期でもあった。
 そういう事情もあり、涼は塾の帰り道、思いっきり誰かに八つ当たりしたくなったし、体もちょうど動かしたくなっていたので、女の誘いにわざと乗ってやった。
 女が涼を連れ込んだのは、おそらく1泊5000円もしない安いビジネスホテル。

(こんなところ、初めてだ……)

 普段、最低でも1泊5万円以上はするリッチな客室しか泊まったことがない涼にとって、窓の外がコンクリートのビルで、備え付けの備品も安物感が出ている部屋は逆に新鮮だった。

(少しは、面白いことができると良いけど……)

 そう考えていた時だった。

「お姉さんと、気持ちいいことしましょう」

 女は、いつのまにか下着姿で涼の真横に着て、涼の服に手をかけていた。
 
「ねえ、あなた年収いくら?」

 女は、涼のシャツのボタンを1個2個外しながら、真っ赤なルージュを塗った分厚い唇を、涼の耳たぶに押し付ける。
 涼はその瞬間、ぞわぞわと背筋に悪寒が走るのが分かった。

(少しは楽しくなりそうだ)

 涼はこの時、生理的な嫌悪感とスリルを錯覚していたことにまだ気づいてなかった。
 女に1枚1枚、まるでみかんの皮でも剥くかのように裸にされた涼は、そのまま自分の皮膚に女の口紅がつくのを見ながら、震えていた。
 自分がこのまま、何をされるかは分かっていた。
 でもまさか、こんな形で保健体育の教科書で習ったばかりのセックスの経験ができるなんて思わなかった。

(一体、どんなものなのか)

 涼は、未知なる知識にドキドキした。
 そうして、色々試した。

「ねえ、お姉さんが僕に色々教えてくれるんでしょう?」

 わざと女を挑発するようにして。
 結果的に、この童貞喪失の日に、涼は女によってあらゆる性技をマスターしてしまっただけでなく

「もっと私を犯して!!お願い……!」

 このように、女の心も体も虜にしてしまったわけだが。
 ちなみに、その後でようやく

「僕、中学生だけど……警察捕まるんじゃない?」

 と、自分の正体を暴露して、女を怯えさせたのだが。
 この時覚えたセックスに関する涼の感想は、一言で言うなら効率的なストレス発散だった。
 だから、後に

「愛してるならエッチして!」
「あなたのエッチに、愛が感じられない」

 と叫ぶ女たちの気持ちなど、涼には全く分からなかった。
 香澄と会うまでは。

「ねえ、香澄」

 涼は香澄の耳たぶにそっと触れる。
 あの女の耳たぶより、ふっくらしてていい香りがする。
 もし眠っていなければ、かぶりついてやりたいほど、おいしそう。

「香澄は僕にこう聞いたのは覚えてるかな?童貞はいつ捨てたんですかって。……その時僕はね、今君が僕の童貞を奪ったんだよって……言いたかったんだよ」

(まあでも、本当の意味でセックスをしたのはあの日が最初だったから、あの日を僕の童貞喪失ってしちゃっても……いいのかな?)

 そう言ったら香澄は何て言うだろうか。
 そんなことを考えながら、涼は次のクズエピソードを思い出していた。
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