二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
その部屋に入ったのは、本当に偶然だった。
それは夜のこと。
仕事から帰ってからすぐ、執事服を身につけてまず香澄の部屋の前を掃除することから始める。
香澄の部屋の扉は、微かに開いている。
そこから覗くと、香澄はベッドの上で眠っているのが見えた。
部屋の扉を微かに開けておく。
これも、拓人が香澄に言い渡した条件。
そうしなければ、拓人が奪った時に、香澄が必死で奪い返そうとしたノートを返さないと、拓人が言ったから。
香澄はすぐにその条件を飲んで、拓人からノートを取り返した。その結果、今までは閉ざされ続けていた扉が少しだけ開き、涼は寝顔だけとは言え、香澄の顔を毎日見ることができるようになった。
香澄にそれだけ影響を与えるノートが一体何なのか。
涼はもちろん尋ねた。返ってきた答えは
「今あの子が書いてる小説のキャラクター設定が書かれているもの」
とだけだった。
涼には、何故そんなものを香澄が大事にするのか、まだ理解できていなかった。
涼の仕事で言うならば、あのノートは顧客ファイルのものなのだろうと考えた。
仕事をするには、なくてはならないもの。けれど、自分はそれらを強く抱きしめたりなんかはしない。
だからだろうか。
どうせ抱きしめるなら自分であって欲しいのにと考える涼にとって、香澄のノートはまさに嫉妬の対象になっていた。
現に今も、香澄はノートを抱きしめたまま眠っているのだから。
「どうしたらいいんだ……」
この服を着ていれば、香澄は逃げることはない。
話しかければ、恥ずかしそうに俯いてしまい顔を見せてはくれないが、逃げられることは無くなった。
まだ、あのスイートルームの時のような親密さを取り戻すことはできていないが、それでも涼にとっては今は十分だったし、そう思うようにしていた。
それでも、香澄が苦しんでいる時に、自分が直接助けることはできない。
そのもどかしさで、日々焦りが募っていくのを、涼は自覚していた。
せめて突破口さえあれば。香澄が、自分を頼りたいと思ってくれる何かがあれば。
そんな強い思いが、もしかすると予感を呼び寄せたのかもしれない。
(そういえば、和室の横の部屋は1度も入ったことがなかったな……)
1度間違えて入ろうとした時、そして偶然香澄に見られた時、香澄は慌てたように涼の腕を掴んだ。
自分からは決して涼に触ろうとしなかった香澄が、だ。
そして言った。
「そこには、何もありませんから、入らないでください」
強い口調だった。
その時は、そういうものかと気にしなかったが……。
(掃除くらいは、いいだろう)
涼は、この時何故か、絶対にこの部屋に入らなければいけないという強い使命感すら抱いていた。
弁護士というのは根拠を大事にする生き物だし、涼も根拠がないことは動かないというのに。
この時は「自分が気になる」という主観的な、根拠にもなり得ない理由で動くことを決めてしまったのだ。
涼は、その部屋の扉をゆっくりと音を立てないように開けた。
その瞬間、全く想像もし得なかった光景が、目に入った。
それは夜のこと。
仕事から帰ってからすぐ、執事服を身につけてまず香澄の部屋の前を掃除することから始める。
香澄の部屋の扉は、微かに開いている。
そこから覗くと、香澄はベッドの上で眠っているのが見えた。
部屋の扉を微かに開けておく。
これも、拓人が香澄に言い渡した条件。
そうしなければ、拓人が奪った時に、香澄が必死で奪い返そうとしたノートを返さないと、拓人が言ったから。
香澄はすぐにその条件を飲んで、拓人からノートを取り返した。その結果、今までは閉ざされ続けていた扉が少しだけ開き、涼は寝顔だけとは言え、香澄の顔を毎日見ることができるようになった。
香澄にそれだけ影響を与えるノートが一体何なのか。
涼はもちろん尋ねた。返ってきた答えは
「今あの子が書いてる小説のキャラクター設定が書かれているもの」
とだけだった。
涼には、何故そんなものを香澄が大事にするのか、まだ理解できていなかった。
涼の仕事で言うならば、あのノートは顧客ファイルのものなのだろうと考えた。
仕事をするには、なくてはならないもの。けれど、自分はそれらを強く抱きしめたりなんかはしない。
だからだろうか。
どうせ抱きしめるなら自分であって欲しいのにと考える涼にとって、香澄のノートはまさに嫉妬の対象になっていた。
現に今も、香澄はノートを抱きしめたまま眠っているのだから。
「どうしたらいいんだ……」
この服を着ていれば、香澄は逃げることはない。
話しかければ、恥ずかしそうに俯いてしまい顔を見せてはくれないが、逃げられることは無くなった。
まだ、あのスイートルームの時のような親密さを取り戻すことはできていないが、それでも涼にとっては今は十分だったし、そう思うようにしていた。
それでも、香澄が苦しんでいる時に、自分が直接助けることはできない。
そのもどかしさで、日々焦りが募っていくのを、涼は自覚していた。
せめて突破口さえあれば。香澄が、自分を頼りたいと思ってくれる何かがあれば。
そんな強い思いが、もしかすると予感を呼び寄せたのかもしれない。
(そういえば、和室の横の部屋は1度も入ったことがなかったな……)
1度間違えて入ろうとした時、そして偶然香澄に見られた時、香澄は慌てたように涼の腕を掴んだ。
自分からは決して涼に触ろうとしなかった香澄が、だ。
そして言った。
「そこには、何もありませんから、入らないでください」
強い口調だった。
その時は、そういうものかと気にしなかったが……。
(掃除くらいは、いいだろう)
涼は、この時何故か、絶対にこの部屋に入らなければいけないという強い使命感すら抱いていた。
弁護士というのは根拠を大事にする生き物だし、涼も根拠がないことは動かないというのに。
この時は「自分が気になる」という主観的な、根拠にもなり得ない理由で動くことを決めてしまったのだ。
涼は、その部屋の扉をゆっくりと音を立てないように開けた。
その瞬間、全く想像もし得なかった光景が、目に入った。