二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
「終身刑ですか……?」
「そうだよ、香澄。それが、検事としての僕の求刑。あ、ちなみにね。弁護士の僕は異議なしって言ってるよ」

 涼は、そう言うとパチンとウインクした。
 一体このウインクに、どれだけの女性陣が心を奪われたのだろうか。

「ダメです!さっきも言いましたが、私の好きは、誰かを殺してしまうんです」
「それは、君に愛しいって言った人が死んでしまった……ということで、あってるかな」
「そ、それは……」

 端的に言えば、そう。
 でも、いざ言語化されるときついと香澄は思った。

「香澄。今は事実確認をしたいんだ。……黙秘もできるけど、できれば、それはしないで欲しい」
「先生、私……」

 どう言えば、良いのだろう。
 どう言えば、伝わるのだろう。
 香澄は、必死に考えた。
 自分が、本当に怯えていることを涼に伝えないまま、万が一涼が死んでしまったら……。
 そのことに、実はずっと怯えていたことを。
 でも、それを自分が言うことは、涼が自分を愛していると自分で認めてしまうことになる。
 そんな恐れ多すぎること、どうして自分ができると言うのだろうか。

「よし、分かった」
「え?」
「攻め方を変えてみようかな」

 そう言いながら、涼はぽんぽんと、香澄の頭を撫でていく。

「香澄は、僕のこと……好き?」
「え…………?」
「ああ。深く考えないで。チョコレートが好きとか、ハムスターが好きとか、ゲームが好きとか……そう言う気楽な気持ちで良いんだ」
「気楽な気持ち……ですか……」
「そうだよ。今ここには君と僕しかいない。僕は君の弁護人だ。君の話は全て受け止めるよ」
「それは……弁護士だから?」
「ああ」
「お仕事、だから?」
「今は、そういうことにしておこうか」

 今は、という言葉に引っかかったものの、香澄はほんの少し気持ちが楽になった。

「僕は、君の気持ちを聞く仕事をしなくてはいけないんだ。君は、僕を助けてくれるね」

 涼は、香澄の手をとり、手の甲にキスをしながら言葉を続けた。
 
「さあ、教えて。僕のこと、好き?」
「…………それは…………」
「じゃあ、嫌い?」
「それは、ないです」
「じゃあ、好きってことだね」
「好き……」

 どうして、感情を伝える言葉というのは、声に乗せてしまうと感情を引き出してしまうのだろう。

「……涼先生が……好き……」

 言ってしまったら最後、ブレーキが効かなくなりそうで、香澄は震えた。
 でもその震えは一瞬にしておさまった。
 涼が、香澄の震える体ごと、すっぽりと抱きしめてしまったから。
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