二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
「あなたは、僕と恋愛体験ができる。僕は……あなたの肌を味わえる。これで、お互いの望みが叶う……どうでしょう?」

 その言葉の意味に気づかない程、香澄は純朴ではない。
 むしろそういったシーンを文字で組み立て、提供してきた側だ。

「イケメンとセックスをしてきなさい」

 八島にそう言われた時は、絶対に無理だと思った。
 でも、あと一歩勇気を出せば、香澄は諦めていた体験ができる。
 男……それも明らかに極上だと分かる人との一夜。
 しかも、スイートルーム。
 こんな機会は、もう2度と巡り合うことはないだろう。

「いかがですか?」

 男性は、香澄に肯定を求めてくる。
 香澄からすると、男性こそが肯定否定を選べる立場だと言うのに。

(こんな人が、私の処女をもらってくれるなら……きっと後悔はない)

 例え、これで2度とこの人と会えなかったとしても。
 2度と……誰かとセックスすることがなかったとしても。
 お酒によって麻痺した理性よりも、この男性を肌で感じたいという本能が上回り、香澄の体が少しずつ蜜で濡れ始めていた。熱がどんどん高まっていった。

「もし、良いのであればこの苺を唇で咥えてください」

 男性は、香澄の唇に苺を押し当てる。

(もう、抑えられない)

 香澄は、言われた通り、苺を唇で咥えてしまった。

「二次元じゃデキないこと、僕が教えてあげる」

 男性はそう言った瞬間、香澄の唇を苺ごと奪った。
 香澄のファーストキスは、苺が弾け、口内に飛び散ったジュースの味がした。

→3.初めての快感は予想外だらけ に続く……
< 31 / 204 >

この作品をシェア

pagetop