二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
 連れの女性がお酒をかけた。
 そのお詫びとして、私はこのスイートルームに招待された。
 お風呂も楽しかったし、こうして恋愛ゲームのシチュエーションっぽいことも堪能させてもらった。
 お礼としては、むしろ十分すぎる。
 それでもまだ、この男性は私の望みを叶えようとしてくれる。
 
(一体……どうして……?)

 香澄がそんな事を考えている間に、男性はすでに空になった香澄のグラスから苺を摘んでいた。
 セクシーな女性が塗るリップのように、キラキラと輝いてるそれを、香澄の口元に近づける。
 苺の甘酸っぱい香りが、ますます香澄の脳を麻痺させていく。
 理性を、取り去っていく。

「僕は、別に優しいわけじゃない」
「え?」
「ただ、したいことをしてるだけ」
「したい……こと?」

 男性は、こくりと頷きながら、苺を持っていない方の手で、香澄の肩をぐっと掴んだ。

「あなたを、僕の胸に引き寄せてみたい……とか」
「それは……あなたの親切じゃないの?」
「これを親切という女性は、滅多にいませんよ」

 男性はそう言うと、香澄の肩から首筋に手を這わせて、首元の服に手をかける。

「こうして、あなたを脱がして、あなたの白い肌を味わってみたいだなんて……優しい男性は思ったりしないものですよ」

 香澄は、男性の手が徐々に自分の肌を侵食していく感覚を心地良いと思ってしまった。
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