二次元の外には、予想外すぎる甘々懐妊が待っていました
「わ、わかりました!だから少し離れてくれませんか!?」
「あらダメよ」
「っ!?」
「私が離れたら、すぐにその男が香澄の横に入り込むわ。そんなの許されるはずないじゃない」
「心外だな。僕と香澄は、確認したけど体の相性も完璧なんだ。むしろ、香澄は僕の横の方が心地よくいられるはずだよ。そうだろ、香澄」

 芹沢涼のこのセリフで、香澄は聞かねばならないことをちゃんと思い出すことができた。

「あの……芹沢先生」
「涼って呼んで、あの日みたいに」

 そう言いながら、また手の甲にキスを重ねてくる芹沢涼。
 手を離して欲しいと、軽く抵抗したものの、強い力で握ってくるものだから、結局そのまま香澄は、芹沢涼に手を預けたままにしていた。

「ほら、呼んで」
「あの!その……涼……先生は……」
「ん?」
「私の事……知ってたんですか?」

 そんなはずはない。
 でも、明らかに、そう推察せざるを得ない会話の応酬が続いていた。
 そのため、香澄は恐る恐るではあったが、尋ねないといけないと思い、なけなしの勇気を振り絞った。
 それから、数秒程沈黙が広がってから

「はあ〜」

 今度は、八島が大きな大きなため息をついた。

「せ、先輩?」
「やっぱり、話さないとダメよね……香澄ちゃんの名誉のためにもあの日のことは一生黙ってあげたかったけど」
「め、名誉!?」

(そんな大層なことなのか!?)

「あの……先輩……私はそんなやばいことをやらかしたのでしょうか」
「ええ」
「っ!!?」

(何だ?私は一体何をやらかした!?)

 だがしかし、この期に及んで全く心当たりがない。

「先輩……私、何をやらかしたんでしょうか……」
「あー……あなたがやらかしたというか……こっちも悪かったというか……」

 妙に、八島の返答の歯切れが悪いと、香澄は思った。

「あーもう、そうね、言うわ!言わないとこの男をどう退治するか相談もできないもの」

(た、退治って……)

「香澄ちゃん」
「はい」
「あなた、半年前のこと覚えてる?」
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