90日のシンデレラ
 「こちらがサーモンの、こちらがツナのオープンサンドになります」

 真紘の着席まもなくして、昼食が運ばれてきた。もちろん真紘はオーダーなんてしていない。すべて真紘が不在中の瑠樹の采配である。

 (オープンサンド?)

 耳がオープンサンドという単語を拾うも、真紘はピンとこない。それがメニュー名だと理解できるが、どんなものか想像がつかなかった。

 (オープンって、何がオープンなのだろう?)

 そんな疑問符だらけの真紘の目の前に、二枚のプレートが置かれる。
 一枚目のプレートには、楕円形に薄切りされたフランスパンの上に一口サイズのサーモンの切り身が載っている。トッピングされた透明な丸い輪のオニオンスライスと艶やかなイクラの粒がリズミカルだ。
 もう一枚のプレートのほうは、ブレッドの上に載っているのはダイスカットされたツナ。ツナの表面は軽く炙られていて、同じサイズの角切り根野菜と行儀よく並んでいる。
 どちらのプレートも土台は斜め薄切りのフランスパンで、白いパテが塗られて具材が盛られている。最後にドレッシングの糸掛けされて、その曲線がプレート全体を引き締めていた。

 (あ、そうか!)
 (もう一枚のパンで挟んでないから、開いた(オープン)なのね)
 (こんなサンドイッチがあるんだ~。おしゃれだな~)

 実物からメニュー名の謎が解けて、真紘は感心する。この盛り付け方なら、シンプルな具材でも華やかさが演出できる。店がモダンとアンティークの両方の顔を持つ仕立て屋であれば、そこに併設するカフェメニューも服屋の格に合わせた素敵なものだった。

 (そうよ、このベランダだって、気持ちいいわよね~)

< 147 / 268 >

この作品をシェア

pagetop