90日のシンデレラ
階下の受付まで真紘が降りていけば、オフィスカジュアルよりももっとラフな姿、ビビッドな色のデザインカットソーにクロップドパンツという鎌田女史がいた。ラフな私服だけど、やはりどこか凛としたところがあり、カッコイイ。
最後の最後まで、都会人のスタイリッシュさに真紘は惚れ惚れしてしまう。
「おはようございます。休日に申し訳ございません」
「おはようございます。気にしなくていいわよ。むしろ、休日に引っ越しさせる社のほうが『なってない』んだから」
ふわりとほほ笑んで、鎌田女史がそういう。
ふたりで真紘の部屋まで戻れば、鎌田女史の室内チェックがはじまった。
「きれいに使ってくれて、ありがとうございます。締め日の都合上、今月は多めに光熱費を引き落とさせてもらってますが、来月末に差額を直接、椎名さんの口座へ入金させていただきます。それまでに明細をお送りしますので、ご確認をお願いします」
真紘ひとりを東京へ呼び寄せることに、多大なる手間暇がかかっているのがわかる。系列下位会社の社員にもこうやって社員教育の機会を与えてくれる本社の方針はすごいなと、あらためて真紘は思う。
「できるだけ片付けたのですが、マットレスだけはできなくて……すみません」
ベッドリネンは薄手の春夏物だったので、燃えるごみとして、こうやって鎌田女史と話をしている間にも足元に鎮座しているのだが、指定のごみ袋に詰めることができた。
しかしマットレスはいくら簡易のものとはいえ、切断してもボリュームがあり無理な話だ。事前に相談した結果、これは総務部のほうで代わって処分してくれることになった。直前まで使うものであったので、これもありがたい話である。
「ここまでゴミが少ないのは、すごいわよ」
「そうなんですか?」
「家族で引っ越しとなると、そういうわけにはいかないから」
いろいろなパターンをみているだけあって、少々のことでは動じない鎌田女史がいた。
「忘れ物もなさそうだし、もし見つかった際にはお送りしますね。ところでフライトは何時かしら?」
「四時五分です」
「今からだと余裕を持って移動できるわね。今回は研修に参加くださりありがとうございました。お気を付けてお帰りください」
「はい、ありがとうございます。では、これを」
と、真紘はカードキーを取り出した。このマンションの鍵である。合わせて、本社での社員証も手渡した。
確かにと、両方とも鎌田女史は受け取った。
最後の最後まで、都会人のスタイリッシュさに真紘は惚れ惚れしてしまう。
「おはようございます。休日に申し訳ございません」
「おはようございます。気にしなくていいわよ。むしろ、休日に引っ越しさせる社のほうが『なってない』んだから」
ふわりとほほ笑んで、鎌田女史がそういう。
ふたりで真紘の部屋まで戻れば、鎌田女史の室内チェックがはじまった。
「きれいに使ってくれて、ありがとうございます。締め日の都合上、今月は多めに光熱費を引き落とさせてもらってますが、来月末に差額を直接、椎名さんの口座へ入金させていただきます。それまでに明細をお送りしますので、ご確認をお願いします」
真紘ひとりを東京へ呼び寄せることに、多大なる手間暇がかかっているのがわかる。系列下位会社の社員にもこうやって社員教育の機会を与えてくれる本社の方針はすごいなと、あらためて真紘は思う。
「できるだけ片付けたのですが、マットレスだけはできなくて……すみません」
ベッドリネンは薄手の春夏物だったので、燃えるごみとして、こうやって鎌田女史と話をしている間にも足元に鎮座しているのだが、指定のごみ袋に詰めることができた。
しかしマットレスはいくら簡易のものとはいえ、切断してもボリュームがあり無理な話だ。事前に相談した結果、これは総務部のほうで代わって処分してくれることになった。直前まで使うものであったので、これもありがたい話である。
「ここまでゴミが少ないのは、すごいわよ」
「そうなんですか?」
「家族で引っ越しとなると、そういうわけにはいかないから」
いろいろなパターンをみているだけあって、少々のことでは動じない鎌田女史がいた。
「忘れ物もなさそうだし、もし見つかった際にはお送りしますね。ところでフライトは何時かしら?」
「四時五分です」
「今からだと余裕を持って移動できるわね。今回は研修に参加くださりありがとうございました。お気を付けてお帰りください」
「はい、ありがとうございます。では、これを」
と、真紘はカードキーを取り出した。このマンションの鍵である。合わせて、本社での社員証も手渡した。
確かにと、両方とも鎌田女史は受け取った。