90日のシンデレラ
腹が膨れてくればいろいろ余裕が出てくるのもので、あらためて真紘は正面の瑠樹をみた。
今着ているスーツに、真紘は見覚えがない。かといって、まったく初めてみるという感じがしない。瑠樹は真紘の借り上げマンションにたくさん服を運び込んできた。これもそのひとつに違いないと思うのだが……
(あ、もしかして?)
「瑠樹さん、今着ているスーツですが、一緒にいったときにオーダーしたものですか?」
「真紘、覚えていたんだ。腕を通したのはこれで三回目だけど、ね」
ほのかに既視感があると思ったのは、仕立てる前の生地の束をみていたからだった。
あの店で瑠樹は特別に取り寄せた生地でオーダーをし、真紘はその間レディースフロアを散策していた。そこであの赤いワンピースと出会うこととなる。
「プレゼン用のスーツでしたね」
次のプレゼンのためにわざわざスーツを新調するんだと、真紘は覚えている。たくさん服を持っていても、ここぞいうときの向き合い方は別格ですごいなと思ったのだ。特別なその一着を、いま瑠樹は身に付けている。
生地の段階で高級品とわかっていたが、こうやって職人の手で丹精込めて作られた服は瑠樹を一層輝かせていた。そう、騒がしいこの庶民的なフードコートでは、ちぐはぐ感が半端ないというぐらいに。
(田舎高速だから、それなりのレストランに入ったとしても限度があるんだけど……)
(瑠樹さん、カッコいい。……カッコいいだけど、なんか違う!)
(とにもかくにも、瑠樹さん、浮き過ぎなんだよ)
しかも食しているのはコース料理ではなく、うどんである。天ぷらのひとつでも乗っているかと思えば、瑠樹が食べているのは山菜うどんという質素さ。何もかもがスーツの高級さとそぐわない。
そんな感想をいだきながら、瑠樹のセリフを真紘は待っていた。
今着ているスーツに、真紘は見覚えがない。かといって、まったく初めてみるという感じがしない。瑠樹は真紘の借り上げマンションにたくさん服を運び込んできた。これもそのひとつに違いないと思うのだが……
(あ、もしかして?)
「瑠樹さん、今着ているスーツですが、一緒にいったときにオーダーしたものですか?」
「真紘、覚えていたんだ。腕を通したのはこれで三回目だけど、ね」
ほのかに既視感があると思ったのは、仕立てる前の生地の束をみていたからだった。
あの店で瑠樹は特別に取り寄せた生地でオーダーをし、真紘はその間レディースフロアを散策していた。そこであの赤いワンピースと出会うこととなる。
「プレゼン用のスーツでしたね」
次のプレゼンのためにわざわざスーツを新調するんだと、真紘は覚えている。たくさん服を持っていても、ここぞいうときの向き合い方は別格ですごいなと思ったのだ。特別なその一着を、いま瑠樹は身に付けている。
生地の段階で高級品とわかっていたが、こうやって職人の手で丹精込めて作られた服は瑠樹を一層輝かせていた。そう、騒がしいこの庶民的なフードコートでは、ちぐはぐ感が半端ないというぐらいに。
(田舎高速だから、それなりのレストランに入ったとしても限度があるんだけど……)
(瑠樹さん、カッコいい。……カッコいいだけど、なんか違う!)
(とにもかくにも、瑠樹さん、浮き過ぎなんだよ)
しかも食しているのはコース料理ではなく、うどんである。天ぷらのひとつでも乗っているかと思えば、瑠樹が食べているのは山菜うどんという質素さ。何もかもがスーツの高級さとそぐわない。
そんな感想をいだきながら、瑠樹のセリフを真紘は待っていた。