90日のシンデレラ
(四次審査で落としたときには椎名さんと喧嘩でもしたのかしらと思ったけど、思い起こせば良子さんのときもそうだったわよね)
(ベテランの調理員が辞めるときに良子さんに班長の話が上がってきて、速攻で社長権限発動して阻止したし)
(後日きけば、良子さんが役付きになれば結婚する上でいろいろ手間がかかって面倒だからといっていたんだよ、会長は)
そう、当時の誠二社長は調理員良子をわざと平社員にしておいた。同じように瑠樹も真紘のコンペ案件をわざと落とした。どちらも、のちのことを考えて。誠にわかりやすい親子である。
当の良子夫人は、自分の会社員時代にそんなことが起こっていたなんて多分知らない。
あとから厨房に入ってくる新入調理員が社の男性職員と結婚が決まって次々と辞めていき、でも自分には一切浮いた話がないから「そんなに私って魅力がないのかしら?」と良子は悩んでいた。しかも勤続年数を重ねても待遇が変わらないことに「仕事も認められない」とブルーにもなっていたのだった。
そんな状態の良子を社長はどう丸め込んだのか、失礼、そうとしかいいようがないとマダム山形は思っているのだが、ふたりは結婚して現在に至っている。
茉莉とマダム山形の前で甲斐甲斐しく茶を淹れる良子の姿は、可愛らしい。年をとってもかわいい女性は存在するんだなとマダム山形は思う。この雰囲気が、真紘と少々ダブルところがあるようにもみえた。
「奥様、本題を忘れないうちにお伝えします」
「ああ、そうだったわ。 瑠樹ったら、山形さんに真紘さんの後片付けを押し付けちゃって、本当にごめんなさい。それで真紘さんの会社は、どうでした?」
「はい。瑠樹さんの指示どおり、対応してきました」
と、マダム山形はにっこりする。
報告を受ける良子夫人も、マダム山形の隣に座る茉莉も、興味深々で耳を傾けた。
(ベテランの調理員が辞めるときに良子さんに班長の話が上がってきて、速攻で社長権限発動して阻止したし)
(後日きけば、良子さんが役付きになれば結婚する上でいろいろ手間がかかって面倒だからといっていたんだよ、会長は)
そう、当時の誠二社長は調理員良子をわざと平社員にしておいた。同じように瑠樹も真紘のコンペ案件をわざと落とした。どちらも、のちのことを考えて。誠にわかりやすい親子である。
当の良子夫人は、自分の会社員時代にそんなことが起こっていたなんて多分知らない。
あとから厨房に入ってくる新入調理員が社の男性職員と結婚が決まって次々と辞めていき、でも自分には一切浮いた話がないから「そんなに私って魅力がないのかしら?」と良子は悩んでいた。しかも勤続年数を重ねても待遇が変わらないことに「仕事も認められない」とブルーにもなっていたのだった。
そんな状態の良子を社長はどう丸め込んだのか、失礼、そうとしかいいようがないとマダム山形は思っているのだが、ふたりは結婚して現在に至っている。
茉莉とマダム山形の前で甲斐甲斐しく茶を淹れる良子の姿は、可愛らしい。年をとってもかわいい女性は存在するんだなとマダム山形は思う。この雰囲気が、真紘と少々ダブルところがあるようにもみえた。
「奥様、本題を忘れないうちにお伝えします」
「ああ、そうだったわ。 瑠樹ったら、山形さんに真紘さんの後片付けを押し付けちゃって、本当にごめんなさい。それで真紘さんの会社は、どうでした?」
「はい。瑠樹さんの指示どおり、対応してきました」
と、マダム山形はにっこりする。
報告を受ける良子夫人も、マダム山形の隣に座る茉莉も、興味深々で耳を傾けた。