Flower black ~Side Story~
ドカッ
鈍い音と共に、俺の腕を掴んでいた奴は遠くのほうに勢いよく吹っ飛んでいった。
「……あ、すいません。そこ、道端で邪魔だったもんで。てか、誘拐中ですか?」
「な、なんだよてめえ!!ふざけんな!!」
その時の場面は今でも鮮明によく覚えてる。
「……ん。おまえ、大丈夫か? なんでこんな奴らに連れていかれそうになってんの?」
「……っごめ、ごめんなさいっ……」
助けてくれたその人に、俺はパニックで謝ることしかできなかった。
けど、その人は俺の頭をポンポンと優しく叩いてくれて、すごく優しい笑顔を向けてくれた。
「なに謝ってんだよ。さてはピンチだな?
よし、俺が助けてやるよ」
そう言った瞬間、その人は俺が絡まれていた男達5人程をあっという間に1人で蹴散らしていった。