Flower black ~Side Story~
その人はそう言いながら、手首についてるチャームを外して、俺の腕につけた。
「……な、なに……?これ……」
そのチャームはとても輝いていて、幼心の俺でも、すごく価値がある物だということは分かった。
「やるよ。おまえがヒーローになる為のお守り」
「お花……ついてる……?」
俺がそう言うとその人は嬉しそうに笑った。
「よく気づいたな! それは俺が一番好きな花、桜の花だよ。俺にとって大事で特別な物なんだ」
「特別なもの……」
「そう。だからおまえも大切にしてくれよ。
それで、おまえもこの先この街で困っている奴がいたら、助けてあげてくれ。
……じゃあな」
その人はそう言って、その場を去っていってしまった。
6歳の子供の俺は、この時初めて自分の意思に気づいた。
"今助けてくれたこの人みたいになりたい"
それで、今までずっとその人を目標に生きてきたんだ。