やっぱり…キスだけでは終われない
「プロポーズは嬉しかったです。でも、結婚とか婚姻届とかは少し待ってください」
「え…」
「両親にも祖父にも私からきちんと話をさせてほしいんです」
「…あ、はぁ……」
柾樹は大きくため息をつき、気が抜けたように頭をがっくりと下げた。髪をかきあげ上目遣いで私を見つめ、小さな声で確認してきた。
「逃げない?」
「…え?」
「カナがまた俺から逃げてしまいそうで心配なんだよ。もう逃げられるのは嫌なんだ」
膝の上に置いていた手を握られ、真剣な声音で、そして少し寂しそうな瞳をして伝えてくる。
「ごめんなさい…私…」
ギュッと抱きしめられ、私の肩の上に柾樹が頭をのせてくる。肩口で切なそうな声が聞こえる。
「嫌だ。もう離さない。やっと捕まえて気持ちを伝えて、想いが通じたと思ったんだぞ…」
「ち、違うの。ごめんなさいって言うのは、私が逃げたことで柾樹がそんなに寂しく感じさせていたなんて思っていなかったことに…なの」
「じゃ、結婚は嫌じゃない?昨日と気持ちは変わらない?」