ところで、政略結婚のお相手の釣書が、私のこと嫌いなはずの『元』護衛騎士としか思えないのですが?
***
それから北極星の魔女により、領地は荒廃していった。それでも、王国騎士団や辺境伯騎士団の活躍で、魔女は劣勢へと追い込まれていく。
特に、一人の騎士の活躍はめざましく、英雄との呼び名が高くなっていた。
「あの。セイグル、その格好は?」
なぜか執事セイグルは、遠征に臨む騎士の格好をしている。
「不肖の弟子が、己の全てを賭けて戦っているのです。力にならないわけには、参りませんので」
「えっと、現役を引退したのでは」
「少なくとも、現在の辺境伯騎士団長は、まだ私に敵いません」
……事実すぎて、止めるための言葉が、これ以上見つからない。
執事として私のそばにいてくれたセイグルは、私が子どもの頃、辺境伯騎士団長をしていた。
マスターの称号を持っていて、誰よりも強い騎士だった。
「……どうして」
「子どものように思っている、二人の未来が楽しみです。そのために、戦うのもまた一興でしょう」
二人とセイグルは言った。
「……私にできることは、ないの?」
「信じなさい」
「……私は」