君に、ブルースターの花束を
それは、押し花だった。まるで星のような形をした水色の花だ。だが、花に興味のないジークフリードには何の花なのかさっぱりわからない。

「何だこれは……」

「押し花です。ブルースターという、私の一番好きな花で作りました」

ジークフリードの問いかけに、ソフィアは笑顔で答える。その笑顔はどこか強張っているように見えた。

「これ、お守りに持って行ってください。無事を祈っています……」

「あ、ああ……」

押し花など余計な荷物は持って行きたくなかった。だが、ソフィアの目を見ていると、何故だか断れなかったのだ。

ブルースターの押し花を軍服のポケットに入れ、ジークフリードはソフィアのことを振り返ることなく戦場へと旅立った。



それから五ヶ月、ジークフリードは戦場で銃を撃ち、部下に指示を出し、命の危機を感じることもあったが、生きて帰ることができた。何とか国を守ることができたのだ。

「ジークフリード様!お帰りなさいませ!」

瞳を潤ませながら、ソフィアはジークフリードが家の外に近付くと門を開けて出迎る。何故、ここまで帰ってきたことを喜ぶのか、ジークフリードにはわからなかった。
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