*夜桜の約束?* ―再春―
[3段階]
──やっぱり……ちっとも、ロマンティストじゃなかった……。
モモは停められた車の外を見回して、初めて見る景色に慄いた。
あれから無人の寝台車に戻り、凪徒の言う通り、取り急ぎ翌日の着替えだけを鞄に収めた。
戻ってきた女性陣が心配しないよう何か良い言い訳は? と頭を巡らせ、結局『高岡邸に招かれた』という嘘しか思いつかず、心苦しくもそんな置き手紙を残して駐車場を目指した。
凪徒は約束通り、最近購入した新車の運転席でモモを待っていた。
助手席側の窓を軽く叩かれたので解錠し、当惑気味のモモが静かに乗り込む。
言葉もなく視線も合わせない少女に、今一度「本当にいいんだよな?」と尋ねたが、モモは恥じらうように俯いて、無言で小さく頷いた。
発進した車の中で、それでも夜景を楽しむように、ちょっとしたドライブにでも連れていってくれるのではないかと、モモは仄かな期待をした。
せめて心の準備が出来るくらいの時間──が、未だ新車の匂いのするそれは、高速道路の出口近くに点在する『目的地』の駐車場に、ためらいもなく真っ直ぐ滑り込んでいった。
モモは停められた車の外を見回して、初めて見る景色に慄いた。
あれから無人の寝台車に戻り、凪徒の言う通り、取り急ぎ翌日の着替えだけを鞄に収めた。
戻ってきた女性陣が心配しないよう何か良い言い訳は? と頭を巡らせ、結局『高岡邸に招かれた』という嘘しか思いつかず、心苦しくもそんな置き手紙を残して駐車場を目指した。
凪徒は約束通り、最近購入した新車の運転席でモモを待っていた。
助手席側の窓を軽く叩かれたので解錠し、当惑気味のモモが静かに乗り込む。
言葉もなく視線も合わせない少女に、今一度「本当にいいんだよな?」と尋ねたが、モモは恥じらうように俯いて、無言で小さく頷いた。
発進した車の中で、それでも夜景を楽しむように、ちょっとしたドライブにでも連れていってくれるのではないかと、モモは仄かな期待をした。
せめて心の準備が出来るくらいの時間──が、未だ新車の匂いのするそれは、高速道路の出口近くに点在する『目的地』の駐車場に、ためらいもなく真っ直ぐ滑り込んでいった。