神さま…幸せになりたい

知り合いなの?

みんなでご飯屋さんにやって来た?ここは、沙代子さんと、あやちゃんの行きつけで個室もあるので望夢がいても安心してご飯を食べられる場所だ。

「いらっしゃい」いつも元気な女将さんが迎えてくれた。
「あら、のぞくん、また大きくなってぇーますますめんこく(可愛く)なったね」

「ありがとうございます」
「あーい」

「お返事もできるようになったの〜いい子だね」
頭を撫でてもらって望夢はニコニコだ。

「あれ?あやちゃんの彼氏かい?」
「おばちゃん違うよ!いとこなの」
「あら。そうかい。悪かったねぇ〜そういや、いつもの席でいいのかい?空いてるよ」

奥の座敷に行き、抱っこ紐から望夢を降ろすと、すぐにテーブルの上の箸やお皿を触ろうとするので少し困った。望夢が食べれそうなものや、みんなメニューを見て悩んでいると座敷の襖が開いて、おばちゃんがやってきた。

「のぞくん、お待たせ。お腹すいたよね?食べれるかな?」
おばちゃんが持ってきたのは小さいおにぎりと卵焼き、野菜スティック、ミニハンバーグ、いちごがワンプレートに乗っていて、お味噌汁まで持ってきてくれた。

「おばちゃん、ありがとう。ごめんね」

「のぞくんに食べてほしいって、おじちゃん頑張ったんだよ。のぞくんは何が好きかな?」

「望夢よかったね。どれから食べようか?」
ワンプレートに乗ったおにぎりを両手で掴んで嬉しそうに
「たぁー」と返事をして食べ始めた。

高林先生は目を細めて「かわいいですね。さっきも遊んでて子供とあまり縁がない生活だったので…」と言い始めた。

話を聞くと高林先生は亘くんの2歳下の31歳ということがわかった。しかも亘くんと同じ大学で後輩になる。もしかしたら、亘くんのことを知ってるのかも知れない…

「俺、凄く尊敬する先輩がいるんです。大学の先輩で…先輩が脳外を目指してるの聞いて、その時は実家を継ぐなんて思ってなかったけど…先輩と仲良くなりたくて俺の実家、脳外科なんで俺も目指しますって…先輩、一緒に頑張ろうって言ってくれて…多分、先輩が外科目指してたら、もしかしたら俺、外科医だったのかな?って思ってるんです」

「あら、大学でいい出会いがあったのね。大河も頑張ったんだ…その先輩とは今でも仲良いの?」
沙代子さんが聞くと

「それが…先輩と同じ病院に勤められなくて…違う病院だったんですけど、でも大学の集まりとか、個別でも飲みに連れてってもらったりと可愛がってもらいました。でもここ数年はそういうこともなくて…俺が東京を離れたのは知らないかも知れないです」

「連絡先は知らないの?」

「俺がこっちに来る前に先輩に連絡しようとしたらスマホ変えちゃったみたいで、念のため病院に問い合わせたら、もう辞めたって言われてしまって…だから連絡つかなかったんです。いい先輩だったのに…なんか事件とかに巻き込まれてないといいなって思ってます」

「いつか会えるといいわね。生きていれば、いつかは会えるわよ。今はSNSがあるから探そうと思えば…ね」

「そうですね。おばさん、いつか亘先輩に会いたいです」

「えっ…」
亘くんって言った?
高林先生の亘先輩は私の知ってる亘くんのことなの?
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