ボンドツリー
偶然
「オリヴァー?」

私は驚いた。

その様子をみて彼は困惑していた。

当然だった。

自分の名前を言って驚かれたら。

「ごめんね。私、オリビアって言うの。名前の起源が同じだったから、驚いちゃって」

「あーそういうことか、すごい偶然だね」

私の名前も彼の名前もオリーブが元なのだ。

オリヴァーも私の表情に納得したようだった。

「えっと、歌ってほしいんだよね?」

「あ、うん、そう…」

ぎこちない会話が続いた。

結局のところオリヴァーは私の歌声に感動した、ということだった。

何か隠しているような気もしたけれど…。

それから私とオリヴァーはモニュメントの下に腰を下した。

オリヴァーは持っていたバスケットを置いてその上にストローハットをかぶせる。

そしてゆっくりと目を閉じた。

私もいつも通りに目を閉じてママと一緒に歌った。

彼の目に涙が浮かんでいることには気づかなかった。
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