春の花咲く月夜には
「かっこいい彼氏作ってさ、『先生のことなんてもうどーでもいいです!』的なアピールしたいとか思わない?」

「うん・・・、そうだね。もう会わないだろうから、そういうのは別にない」

「はあ~・・・、もう本当に、あの先生の呪縛ハンパないね・・・」

奈緒は、怒りと呆れが混じったような息をはく。

その時、ピンポーンとインターホンのチャイムが鳴った。

・・・荷物かな。

私は「ちょっとごめん」と立ち上がり、インターホンの画面を確認しに行く。


(・・・あ)


見ると、いつもの宅配業者のお兄さん。

私は「今出ます」と応対をして、玄関に行きドアを開けた。

「こんにちはー、向居さん。お荷物です」

「はい、ありがとうございます」

「あ、これ、持つと結構重いんで・・・、よかったらどこか置きましょうか」

「あっ、じゃあ・・・、すみません」

頼んでいた通販サイトの商品だった。

洗剤やらシャンプーやらをいくつかまとめて買ったので、確かに結構重そうだ。

奈緒が置いていた荷物を端っこに寄せて、「ここにお願いします」と、玄関の空いているスペースを指さすと、その場所にダンボールの箱を置いてもらった。

「じゃ、ありがとうございましたー!」

「はい、ありがとうございました」

お礼を言ってドアを閉めると、私は急いでリビングへ。

ほんの2、3分の時間だろうか。

チャイムの音や会話で琉花が起きていないか心配したけど、相変わらず、気持ちよさそうに眠っていたのでホッとする。

「・・・よかった。琉花、起きなかったね」

「うん。さっきまであれだけはしゃいでたんだもん。疲れて今はぐっすりみたい」

「そっか」

私は笑って、奈緒の向かいに腰を下ろした。

気を取り直し、再びケーキを食べようとした時に、「そうそう」と、奈緒が私に、私のスマホを差し出した。


(・・・ん・・・?)


なぜ、奈緒が私のスマホ??

「はい!おねーちゃんのスマホ、さっきのアプリ登録しといた」

「・・・・・・」


(へ?)


「会う約束もしといたからね。明日の午後、久々出会いのチャンスだよっ!」
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