私ってそういうこと?/②発熱&開眼編
その7
夏美



最初の切り口は仮説だったわ

もし、紅丸さんが自分の理念を継承・体現化している、いわば妹分の南玉連合に自分の意向が思いのまま届くとすれば、あの人は一体、墨東会との決着を経て、南玉には何を一番に望むのか…

一方で、それと相反しての切り口として、今回の墨東×紅組の結果をもって、今後、界隈ではどのような風評が生じえるか…

あの紅丸さんのことだから、墨東会と戦う前からその辺の視点も持って、今回の決戦に踏み切ったはずだよ

冷静に見て、紅組が墨東会を屈したこの結果、どうなんだろうか…

数では圧倒的に不利な紅組が、タイマン決戦に持ち込んだ戦略的なプロセス面はスルーするとして、結果的に、女がヤクザもバックにした男を正面からのサシ勝負で完膚無きまでにのした…

まあ、紅組側からは怪物・紅子さんが出たんだろうけど…

...


これって…、今は戦勝気分で痛快な顛末として紅組は讃美されててもよ

でも、いずれ冷静に捉えられればどうなんだろうか…

客観的に考えて、そんなヤクザ男連中を駆逐する女の集団って、何と恐ろしいとならないだろうか…

ただでさえ、紅丸さんに対しては、今だ女暴走族を量産するズべ女の黒幕ってくらいにかげ口をたたく風潮もね、実際強い訳だし

ここであえて一歩引いて、南玉連合なのよ!

南玉による組織運営の今後の方向性は、甲斐先輩や野上先輩の中枢から、一様にフツーの一般生徒とつながりを強化すると確証を得たわ

ならよ…、南玉連合が”今回”を経て、果たしてどう見られるか…

それを紅丸さんがそう踏まえるか…

...


私の結論はこうよ

今回の紅組は、また一つその武勇伝にページを増したわ

でも反面、その過度な暴力性もアピールした点は否めないでしょう

何しろ、ヤクザ付きの都県境最大勢力、墨東会をボコボコよ!

都県境の高校を融合し、女子陸上部の混合親善駅伝なんかを実現させたアメリカ帰りの怪物娘の正体は、やっぱり札付きのズべタだと…

紅丸さんは、そこに行き着く世論は織り込んでいたと思うんだ

そこで…!

この機に、フツーの中高生への接点を本格化させようとしている南玉連合には、そのイメージを追いかぶせるのは得策ではないと踏んだのよ!

でよ…、女暴走族と括られる恐れを極力緩める手段として、火の玉河原を経た敵の墨東会と終戦総括の合意に包括させ、自らの南玉内部干渉色を排除させる目的で、今回の南玉公認チーム結成規制を盛り込んだんだわ!

間違いない!





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