私ってそういうこと?/②発熱&開眼編
その6
夏美



更にお二人のOGからは、なんとも”深い”お話が続くのよ

「…夏美も疑問に思ってるだろうけど、紅組の対応ね、あれ、妥当よ。南玉のことを思ってのことだから…。冷静に考えて、南玉と紅組が連合組んでだよ、そこら辺の素性も定かでないチームもどきの走り娘たちを刈ってどうなるのよ。それこそ世間からはレディース叩きで括られるわ」

野上先輩の言は、まさにその通りではあるよね…

これに続いた甲斐先輩の話にはもう仰天した

「それと、紅ちゃん自身がさ、去年秋の協定合意以降の墨東会への読み違いはあったってとこも、今の現状を生み出してるのよ。だから、彼女の内心は”しまった。計算違いだったか”、ってね…」

「それは、どこをどう読み違えたんでしょうか?」

「あのね、紅ちゃんは去年秋、墨東会との決着を制したあと、砂垣を放逐して新たな墨東会とは友好関係を結ぶつもりだった。それはあなたにも去年言ったわよね」

「はい…」

このことはまだ南玉に加入していない時点で、甲斐先輩から聞かされたわ

まあ、その時の驚きったらなかったけど…

...


「…砂垣は墨東からおん出されりゃあ、愚連隊系のフィールドに留まるしかないからね。何しろ、他の乱立するグループはほとんど墨東会の傘下か、友好協定を結んでたし。その墨東会の今後は、南部くんらのトロイカ体制に移行するということは、紅ちゃんも最初から織り込んでいたし、実際にそうなったわよね」

ここで甲斐先輩がタバコを手にしたのを察して、野上先輩がバトンを受けたわ

「ここで南部さんを窓口に協調体制を敷いて、懸案だった男と女、赤と黒のカベをぶち壊す計画だった訳。ところが、砂垣さんも、ころんでタダじゃあ起き上がらなかったってこと。外部から息のかっかった墨東メンバーを通してさ、南部さんが紅組に墨東会を売り渡すようだとかって吹聴してね。さらに傘下のグループには、墨東に見捨てられると噂を流して不安感を煽ったのよ」

「…」

「そこで疑心暗鬼に駆られた各グループは、砂垣体制が取り込ませていた女の少数チームの保護が利かなくなり、なし崩しになって弱小チーム同士の無法状態にね。おそらく、砂垣さんは一定期間を経たあと、愚連隊系を介してそれらいくつかのチームを取り込むでしょうね。要は、今の混乱状況は一時期的なもので、そこそこのところに収まるはずなの」

一時的…

南玉のOG・OBの人たちは、ここまで読んだ上で…





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