きみと3秒見つめ合えたなら
「恭ちゃんに、言うの?好きって。」
「今はまだ言わないほうがいいのかなって。噂も鎮まってはきたけど。やっぱりそうなんだーみたいになりそうで...」

「たしかにね。慎重になるよね。」
「うん。」

それからは他愛もない話をして、私たちは帰った。ここ数日辛かったから、すごく気分が晴れた。美帆に感謝。 

 美帆と別れて家に帰った。


 桐谷くんから、2度目のメッセージが届いていた。 

『今日、俺の学年の女子が、先輩に酷いこと言ったらしいって聞いて。
ごめんなさい。
守るって言ったのに。』

『大丈夫。噂って怖いね。』
あえて美帆と早瀬くんに助けてもらったことは言わなかった。

『また何か言われたら、オレに言ってください。』

『桐谷くんは?大丈夫?』

『オレは大丈夫です。噂なんて慣れてるし。大体半分くらいウソだし。』

 さすが、慣れてるんだ。
そして最後に
『落ち着いたら、また返事、聞かせてください。』
とあらたまったメッセージを送ってきた。


 それからはもう、メッセージがくることはなかった。
 
 本当はもう返事は決まっている。

 だけど、今、伝えても、2人で会うことはできないし、切なさが募るだけ。

 だったら、この気持ちは私の中で大切に温めておこう。きちんと桐谷くんの目を見て言えるその日まで。
 
 今、私は、桐谷くんに片想いしている
...そんな気分だった。
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